YouTubeチャンネル始めました:Adobe Audition / AfterEffects / Premiereを使った動画制作プロセスのご紹介

Adobe Premiereの編集画面

この度、「元祖・怖い話協会」というYouTubeチャンネルを始めました。

こちらのチャンネルや動画の詳細については、上記リンクからご覧いただきたいのですが、今回は、わたしたちがYouTubeチャンネルにアップした1本目の動画「【怪談】幼少期からの数百に及ぶ霊体験を告白!」を完成させるまでの、機材選定から撮影、編集のプロセスをご紹介したいと思います。

撮影・録音機材について

まず、撮影・録音機材について。

わたしたちの会社は動画の撮影や制作を何十年も前から手掛けてきましたが、自分たちでは撮影・録音機材はほとんど持っていませんでした。全て、パートナーのカメラマンや映像制作プロダクションに手配してもらっていたのです。しかし、今回は自分たちで全て完結させるために、機材を購入することにしました。

とは言え、まだ収益化の目処もたっていないYouTubeチャンネルのために、大きな投資を行なうことは難しかったので、なるべく安く済むように「安価だけどクオリティは高そうなもの」を買い集めることにしました。
そのリストが下記になります。

●機材リスト
・カメラ:Canon EOS 80D
・三脚:Manfrotto 190XPROB
・マイク:audio technica AT2040
・マイクスタンド:audio technica AT8703
・照明:UBeesize ソフトボックス 写真照明キット
・ミキサー:CLASSIC PRO/ AM802FX
・オーディオインターフェース:behringer LINE 2 USB

カメラはわたしの私物です。三脚も社内にあったものなので、こちらに関する出費はゼロ。しかし、撮影中にバッテリーが切れるのは避けたかったので、ACアダプターキット(互換品)を購入しました。

二人の対話形式の映像と決めていたので、マイクは2本必要でしたが、2本買った後で求めていた音質と違うと困るので、初めにaudio technica AT2020を1本だけ購入しました。使ってみると想像以上に周りの音を拾ってしまうことが判明。一応単一指向性マイクですし、用途によっては特に問題ないレベルなんだと思うのですが、わたしたちが使用する環境で、わたしがイメージしていた「しゃべり声以外はほとんど無音」になるようなカッチリした音質に仕上げるには、このコンデンサマイクは向いていないと思い、ダイナミックマイクのAT2040を購入。 AT2020と比べるとイメージに近かったので、これでいけるだろうと判断し(上を求めるとどんどん高額になってしまうので)、こちらをもう1本追加で購入。

撮影場所は社内の会議室です。会議室は当然ながら蛍光灯があってそれなりの明るさもあるので、撮影用の照明の必要性についてはあまり考えていなかったんですが、Amazonで探してみると2本セットでソフトボックスや三脚もついて¥8,000程度で買えるLED照明があったので、試しに購入してみました。それぞれ、画面の左右外側に、演者に向けて立てているんですが、これがあるのとないのとでは大違い。天井からの照明だけだと、顔の下半分が暗くなり、貧相な印象になるのですが、横からの照明ひとつで健康的な顔色に。動画のコンセプトからすると暗い方が良かったのかもしれませんが、怪談系のYouTubeにありがちな、暗くてチープな映像にはしたくなかったので、この照明は今回最もコスパの良かった投資でした。

カメラから映像は録れても、音声を録るにはマイクが2本必要なので、ミキサーを通さなければいけません。CLASSIC PRO/ AM802FXは、安価でコンパクトな上にXLR端子が4つ付いていて、今後演者が増えた場合の拡張性もあるので、わたしたちにはちょうどいいミキサーでした。

映像も音声もMacBook Proで収録したかったのですが、カメラはEOS Webcam Utilityという、ウェブ会議ツールを使う際に映像出力にCanonのEOSシリーズを使うための機能拡張を使うことで解決できたのですが、QuickTimeで収録すると、なぜか画角が1280×720pxのHDサイズに。1920×1080pxのフルHDサイズで録りたかったのですが、どうやらわたしの使用しているMacBook Proのスペックが低いために、QuickTimeが1280×720pxでしか収録できないようでした。生成AIに聞いたところ、「OBSで録れるよ」ということだったので、試してみると、バッチリ1920×1080pxで録画できました。

さて音声の収録ですが、CLASSIC PRO/ AM802FXはアナログミキサーですので、オーディオインターフェースが必要です。しかし、ここであまりコストをかけたくありませんでした。なるべくシンプルに、できればRCAのLRだけをUSBに変換できるようなものが欲しい……と思って探していたら、behringer LINE 2 USBという、あまりにもうってつけの商品を発見。他に同様の商品も見つからなかったのでこちらを購入。こちらもOBSでバッチリ録音できました。

というわけで、上記のセッティングで収録を行いました。OBSのバグなのか、画面が上下反転してしまっていたのですが、「編集」メニューから「変換」→「垂直反転」を選んで戻すことができました。

Adobe Auditionを使った音声の編集

編集はまず、音声の編集から始めました。通常の流れですと、素材作りから始めるところですが、今回は音声のクオリティが一番心配だったので、いの一番に音声を確認しました。

編集にはAdobe Auditionを使用。OBSで映像と合わせて収録していたので、動画をAdobe Premiereで開いて、タイムラインから右クリックで「Adobe Auditionでクリップを編集」を選ぶと、Auditionで音声が編集できます。

音自体は問題なく録れていたのですが、演者2人の声の大きさに随分差があったのと、2人のそれぞれのマイクからの距離が違っていたこと、とくにゆうまんが前後のアクションによって声の強弱が出てしまっていたことなどがあり、かなり音声入力レベルにばらつきが出てしまっていました。そもそも全体の入力レベルが低かったので、ノーマライズをかけて全体のレベルを持ち上げたのですが、ゆうまんの声がピーク近くまで出ていたためにあまり上がらなかったので、一旦ノーマライズをキャンセルして、ゆうまんの声のピークの部分を下げてから、

Adobw Auditionでレベル調整を行なっている画像

ノーマライズをかけることにしました。

Adobe Auditionのノーマライズ設定画面

それから、無音の際に聞こえるホワイトノイズを除去しました。以前はAuditionの「ノイズリダクション」の機能で、同レベルのホワイトノイズを一律に除去できたのですが、現在のバージョンでは同様の効果が得られず、いくつかあるノイズ除去機能を試してみたのですが、「クロマノイズ除去」が最もイメージに近い音質にできたので、こちらを適用。

Adobe Auditionのクロマノイズ除去設定画面

しかし、ホワイトノイズが高域にあるためか、オリジナル音声と比べると全体的にこもった音質になってしまいました。このあたりが、現状の機材と環境でのクオリティの限界かもしれません。これ以上は、音声を安定した大きさで入力することが必要になるので、次回からは、ゆうまんはマイクからの距離をなるべく一定にするように、Dはマイクにもう少し近づいてしゃべってもらうようにしようと思います。

Adobe AfterEffectsを使った映像素材の制作

続いて映像素材の制作です。撮影素材を中心にした本編とは別に、オープニングとエンディングとテロップ、それに加えて本編中に挿入される「スティンガー」と呼ばれる短い映像が欲しかったので、それらをAdobe AfterEffectsで作りました。

Adobe AfterEffectsの編集画面

雲間から見える月の映像は、Pexelsというフリー動画・写真素材サイトから、音楽・効果音素材はDOVA-SYNDROMEというフリーBGMサイトからダウンロードして使用しました。上にスクロールする文字は、モードをビビットライトにするとちょうど良い感じでかすれとノイズが出ました。

月の映像が最後にオレンジになる部分は、カラー補正エフェクトのコロラマをかけています。

Adobe AfterEffectsの画面のコロラマの設定表示部分

エンディングの動画に使用した映像素材もPexelsにあったものですが、元は昼間の明るい映像だったので、カラー補正エフェクトのLumetriカラーで、青暗くしました。

Lumetriカラーで色を変換した映像のビフォーアフターを並べた画像

スティンガーは4種類作りました。それぞれ使用している動画はPexels、効果音素材はDOVA-SYNDROMEのもの。タイトルの演出は全く同じで、動画をそれぞれ変更して、トーンを暗くしたりノイズをかけたりしました。こういう、演出以外の意味が特にない2秒の動画は、遊び感覚で作れるので楽しいですね。

スティンガー動画4種類のキャプチャを並べた画像

テロップも必要だったので、ベースになるイラスト素材をイラストACで入手して、Adobe Illustratorで制作。AfterEffectsでディストーションエフェクトのタービュレントディスプレイスで歪ませてお化けっぽい演出にしました。

Adobe AfterEffectsの編集画面のディストーションエフェクトのプレビューとパラメーター部分の画像

Adobe Premiereを使った本編映像の編集

さて、いよいよ本編の編集です。

まずは撮影した素材の文字起こしを行います。Premiereには文字起こし機能があるので、それを使いました。テキストウインドウの文字起こしタブから「文字起こし開始」というボタンをクリックするだけで全ての音声をテキスト化してくれます。

Adobe Premiereの画面の文字起こし欄の画像

文字起こしされたテキストは、右上のミートボールメニューから「キャプションを作成」を選ぶと、タイムライン上に、実際の発言位置に合わせて配置してくれます。配置されたキャプションは、キャプションタブから一覧・編集できます。

文字起こしのスピードは速く、数分で完了しましたが、誤字脱字はかなり多く、そのままでは使い物にならないレベルでした。ただ、タイムラインへの配置は非常に正確でしたので、キャプションタブに並んだテキストを見つつ音声を確認しながら修正していきました。

続いて本編素材に手を加えます。撮影した素材は、そのままだと生っぽい雰囲気だったので、カラー補正エフェクトのLumetriカラーを使って、全体の彩度を少し落とし、トーンを青寄りにして、シャドウ部を少し潰しました。

動画素材に適用したカラー補正の比較画像

色を決めた後、素材にハサミを入れていきます。フィラー(「えーっと」などの、間を埋めるための意味をなさない言葉)や不要な言葉、重複している部分などを細かくカットしていき、話の節目にスティンガーを挿入することで、見やすくわかりやすくなるように編集します。

Adobe Premiereの編集タイムライン部分の画像

オープニング、エンディングの素材なども配置して、全体を組み終わったところで、オープニングの前にダイジェストを入れようと思い、本編からハイライト部分をピックアップして、Lumetriカラーを本編とは別のトーンでかけて、映像や字幕も部分的にサイズを変えるなど、少し演出も加えました。

本編とダイジェストの演出違いを比較した画像

全体の音声のバランスを整えて、編集は完了……と思いきや、動画を確認すると、音声がズレていることをゆうまんが発見。データを確認すると、OBSでの収録時点で数フレームだけ動画の方が遅れていることがわかりました。

さらによく見ると、動画の一部に映像が止まっている瞬間があり、仕方がないのでその部分はカットして前後を詰めることに。大きな問題にならないところで良かったですが、今後、動画の撮影はOBSを通さずカメラで直接行った方がいいかもしれません。

音声のズレも、わずかなズレは編集していても気づきづらく、正しい音の位置を探すのに苦労しました。今後は音と絵を合わせやすいように、冒頭でカメラの前で拍手をするなどして目印を入れるようにしようと思います。

以上で、動画は完成です。YouTubeにアップロードし、諸々の設定を行なって公開しました。

こちらの動画は、これから始まるエピソードの予告のようなものですので、今後、もっと濃厚な動画がアップされていく予定です。もし楽しんでいただけましたら、ぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

YouTube動画の制作や、動画編集についても、参考にしていただければ幸いです。

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