企業はユーザー目線で思考できない・その原因と対策

白人女性が二人並んでミーティングしている写真

「ユーザー目線で考える」ことは、企業にとって大切なことだと思います。ユーザーあってこそ、仕事は成立するのですから、相手が何を欲しているのか、求めているのは何なのか、その気持ちに対して力になれることは何か。

ユーザーは、必ずしも他者であるとは限りません。自分自身もユーザーの一人であるケースがあります。開発者個人の思いで作りきった商品がヒットしたり、グループインタビューではなく、1対1で長時間のヒアリングをするデプスインタビューによって相手の本音をじっくり聞き出すなど、ユーザー目線の捉え方は一様ではありません。

ユーザー目線の反対は、「企業目線」となるでしょうか。しかし先の例で言えば、企業にもユーザーはいるはずです。企業目線であっても、それがユーザー目線の反映である場合もあるかもしれません。

では、ユーザー目線と企業目線の境界線は、どこにあるのでしょうか。

それは、企業目線で出てきた考えや意見を見れば、一目瞭然でしょう。なぜなら、ユーザー目線には実態がありますが、企業目線には実態がないからです。

実態とは、言い換えれば「人」ということになります。

会社は、「法人」とも呼ばれます。ということは会社も「人」です。もちろん厳密には、「人のように扱われる」だけで、実態としての肉体があるわけではないですし、「法人格」と言っても、自らの意思を持っているわけではありません。

しかし会社は、時間を重ねるごとに「人格」を持ち始めます。経営者によって定められた社訓や社是、理念などによって、法人としての個性、性格、アイデンティティが生まれ、社員によって実際に肉付けされ、動き出すのです。

はじめは、経営者や社員の思いが反映される形で形成された法人格も、大きくなり、人が入れ替わるにつれ、やがて独り立ちしていきます。そうなってくると、独り立ちした法人格のもとに集う経営者や社員は、法人格を、自分の本心とは別に尊重することになっていきます。

さて、この段階で、「独り立ちした法人格」の企業にとっての「ユーザー目線」は、どこにあるのでしょうか。

主婦向けの商品のメーカーであれば、社内にいる主婦である社員の意見は、ユーザー目線として見られるかもしれませんが、しかしそこに「法人格」の意見が混ざり込んでいないか、注意が必要でしょう。企業内にいる限り、法人格に従った考えや行動が求められますから、純粋に個人的な考えや意見が出てくるとは限らないのです。

「わたしたちがユーザー目線でものづくりをしていることを伝えたい」という思いで情報を発信している企業のコンテンツを目にすることがありますが、「ユーザー目線でのものづくり」ができていたとしても、「ユーザー目線での情報発信」ができていないケースがままあります。これも「法人格が持つ個人的な意見」、つまり「企業目線」に飲み込まれてしまっている一つの例と言えるかと思います。

ことほどさように、企業内で「ユーザー目線で考える」ことは、思いのほか困難なものです。結局は、「外部からの視点」がなければ、そして「外部からの視点」に耳を傾ける構えが企業になければ、どうしても「企業目線で考える」ことにとらわれてしまうのです。

わたしたちはデザインを通して、プロモーションやマーケティングにおける「ユーザー目線」を、さまざまな形で提供いたします。ユーザーとの接点を増やしたい、ユーザーとの距離を近づけたいとお考えの方、ぜひ一度、当社までご相談ください。

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