「メディア」と「媒体」、実は「広告主」と「ユーザー」で言葉の意味が変わります
あなたは、「メディア」という言葉を聞いて、何を連想するでしょうか。
最もなじみ深い使い方のひとつとして、「マスメディア」が挙げられるでしょう。俗に「4マス」と呼ばれる、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌のことを「マスメディア」と呼びます。「マス」とは、「多数」「大衆」など、大きな集団や集合を指す言葉、「メディア」とは情報などを残したり伝えるためのものや方法のことです。つまり多くの人たちに情報を伝えることができるテレビや雑誌などが「メディア」です。「ニュースメディア」は、ニュースを伝えるための、「インターネットメディア」は、ネットを介して情報を発信するものを指しています。
「メディア」を日本語訳すると「媒体」となります。ハードディスクやCDなど、データを記録することのできる機器などを「記録媒体」「記録メディア」と呼ぶことがありますが、ハードディスクなどを介して情報を得ることができるものですから、根本的な意味は同じです。
メディアはラテン語の「メディウム」を語源としていますが、これは「中くらい」という意味。お肉の焼き加減を示す「ミディアム」はその英語発音です。洋服の「Mサイズ」も「中くらいのサイズ」という意味です。科学の分野では「何かと何かの間ににあって伝えるもの」として使われていて、例えば人間が音を聞く場合は、空気が音波を鼓膜に届けるための「媒体」だということです。
広告業界では、先の4マスや、看板やデジタルサイネージ、ウェブサイトのバナー設置箇所など、広告掲載スペースを持つものを「媒体」と呼びます。商品やサービスなどを広めたい企業や個人と、それらを伝えたい対象との中間にあって互いをつなげる機能を果たしているからです。
さて、ここまで書いてきて、あることに気がつきました。先に「メディア」の日本語訳が「媒体」と書きましたが、広告業界で言う「媒体」と、いち消費者としてのわたしたちがテレビなどを指す場合の「メディア」には、微妙に意味の違いがあるのです。わたしたちが使う場合の「メディア」は、テレビであれば番組、新聞・雑誌であれば記事というコンテンツを媒介しているものと解釈しますが、広告業界の指す「媒体」は、コンテンツではなく「広告枠」を指しています。広告業界では、広告が掲載されない書籍や映像ソフトは「媒体」と呼ばないのです。
テレビなどの4マスに限らず、ニュースサイトでも動画サイトでもSNSでも、「コンテンツ」と「広告」は常にせめぎ合う関係でした。コンテンツを求めるわたしたちの視線と時間を奪う広告は、「嫌われ者」「必要悪」などと言われてきた歴史があります。かのGoogleは広告なくして存在し得ず、映像配信の雄Netflixは広告の導入によってコロナ以降の低迷期を乗り切ることができました。
今広告業界は、年間広告費の半分近くがネット広告であり、4マスは苦しい状況が続いています。しかしネット広告も広告効果が伸び悩んでおり、、サードパーティクッキーの廃止など、今後も足枷となりそうな課題が立ちはだかっています。
そこで現在は、旧来の「媒体」としての広告ビジネスではなく、「メディア」としてのコンテンツの充実や改善を図る施策が注目されており、広告代理店の子会社としてデザイン業を営んでいるわたしたちプランニング・ロケッツも「媒体」への広告出稿を行なうだけでなく、自分たちの「メディア」(自社サイトやSNSなどの公式アカウント)を作ってコンテンツの質を上げていくことをご提案するケースが増えています。それは、今まで「メディア」と「媒体」の間にあったミスマッチを解消するために必要であることが明らかになってきたからです。
もちろん、旧来の「媒体」に掲載する広告も、今なお効果的に使うことができます。しかしそれは自分たちの「メディア」が発信するコンテンツと両輪で回してこそ能力が発揮できるものです。
あなたの商品やサービスをプロモーションしなければならない時、外部の「媒体」と内部の「メディア」をいかに活用すべきか、意識して取り組んでみてください。
「媒体」「メディア」活用でアイデアが欲しい、というときには、私たちがお手伝いしますので、いつでもお気軽にご相談ください。