流行りものには価値がある?その価値は、ホンモノ?

Adobe Fireflyで生成された近未来の工場のようなシンメトリー構図のイメージ

メタバース、生成AI、ショート動画、NFT……わたしたちは、プロモーションやマーケティングに関わるデザインの仕事をしているので、このような世の中の流行りものは、常に意識し、自分たちの仕事に取り入れていかなけらばなりません。なぜならば、お客さまの課題は社会の変化と共に時事刻々と変化しており、その変化の中で生まれてきた新たな技術やサービスなどが、その課題解決の鍵となる可能性を秘めていることがあるからです。

しかし、流行している技術やサービスには、常に「流行っている」こと自体が価値であるような錯覚を起こさせる危うさがあります。今流行っているからこの波に乗っからなければならない、これからはこの流行のサービスが一般化させるから今のうちに取り組むべきだ……など。

ではこの流行は、本質的な価値を伴っていると、一体どこの誰が保証してくれるのでしょうか。もしくは、本質的な価値を伴っていたとして、あなたの事業に役に立つと、何を根拠に確信できるのでしょうか。

「一過性の流行に乗るのは危ない」と思い、流行からは距離を置いて、客観的に様子を見る人たちも少なくありません。でも、もしそれが「一過性の流行」ではなく社会の流れを大きく変える重要なものであったとしたら、果たして遠巻きに眺めていて大丈夫なのでしょうか。

EV車を取り巻く世の中の流れは、このような難しい問題を象徴しているように思います。地球環境を守るために、CO2排出量を減らさなければならない、そのためにはガソリン車を電気自動車に変えることが大事だ、という理念のもとでは、世界中の自動車のEV化は喫緊の課題と言えるかもしれません。しかし、技術やインフラ、そもそも電気を使うことによる環境負荷に対する議論などが十分でないまま、欧米を中心に猛スピードで「EV化」の波が押し寄せてきました。世界初のハイブリッド車・プリウスを製造・販売していながら、EV化に懐疑的だったトヨタは波に乗り遅れ、気がつけば自動車業界の覇権はテスラやBYDといった新興企業に奪われてしまった感があります。

ところがここにきて、潮目が変わってきました。ガラパゴスと批判された日本だけでなく、世界的にEVへの関心が下がってきたのです。2030年にはエンジン車の販売を終了する計画を立てていたメルセデス・ベンツはその計画を撤廃し、フォード、テスラ、ゼネラル・モーターズがEV関連の投資計画を延期しています。

中でも注目を集めたのは、AppleがEVの開発計画をやめてしまったことです。ここまで10年かけて開発を進めていたのに撤退してしまった理由は、EV化による自動車の値上がりやBYDの台頭による市場の変化もあるでしょうが、最も大きかったのは、Appleが生成AIの分野で出遅れてしまったことにあるようです。確かに、Google、Microsoft、METAがしのぎを削り、NVIDIAが半導体業界を大きく左右するトップランナーになった昨年一年間で、Appleの名前が生成AIの話題で上がることはほとんどありませんでした。

AppleはEVの開発人員をレイオフする一方で、一部はAI部門に配置転換されるそうです。GAFAMの一角を担うAppleが、今、EVよりも生成AIの分野で結果を出さないわけにはいかないのでしょう。そしてそのことが、生成AIへの社会的な関心をより高めることになるかもしれません(Vision ProがVRへの注目を高めたように)。

さて、わたしたちにとって、EVは、生成AIは、どのような価値を持つのでしょうか。Appleがやっていることは「今流行っているからこの波に乗っからなければならない」ということでしかないように見えないでしょうか。わたしたちは、この波に乗せられても大丈夫なのでしょうか。

世の中で流行っているものについて、わたしたちは常に情報収集し、実践し、その価値を測っています。価値とは、わたしたちにとっての価値ではなく、わたしたちがサービスを提供するお客さまにとっての価値です。

「今流行ってるこれって、どうなの?」「うちも始めるべきかな?」という疑問などありましたら、ぜひ一度、わたしたちに相談してみてください。わたしたちの知見が、きっとお役に立てますよ。

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