日本のポピュラー音楽はアニメとボカロで支えられている

Adobe fireflyで生成された風景画の中心に身を反らせて立つ人物がいるイラスト

2023年度のJASRAC(日本音楽著作権協会)による著作物使用料の分配額ランキングが発表されていました。

上位10曲が掲載されていますが、そのうち4位までの楽曲は全てアニメ関係。さらに7、8位も同様で、10位内に6曲もアニメに関わる楽曲がランキングしていたのです。

過去を振り返ると、2022年度は5曲、2021年度は3曲と、年々増える傾向にあったとも言えますが、ドラマ主題歌よりもアニメ主題歌が強まっている傾向も垣間見え、コンテンツ消費の流れ、音楽に対するニーズに変化を感じざるをえません。

それと、23年度のランキングの中で見過ごせないのが、1位・2位の作詞・作曲者が「ボカロP」だということです。

ボカロPとは、初音ミクに代表される音声合成ソフト、いわゆるボーカロイドを使用して楽曲を制作・発表しているクリエイターのことです。ボカロPという呼び名も、ボーカロイドを使った楽曲制作の文化もニコニコ動画が発祥であり、当時初音ミクが「バーチャルアイドル」と解釈され、そのプロデューサーとしての役割と捉えられたことから、ボーカロイドの略語「ボカロ」に、プロデューサーの「P」がつけられた、ということです。

多くの方がご存知のボカロPといえば、米津玄師が挙げられるでしょう。彼もニコニコ動画に「ハチ」という名前で楽曲をリリースしていたボカロPでした。Adoの名を世に知らしめた「うっせぇわ」の作曲者・syudouもボカロPですし、Ado自身、ボカロ曲を肉声で歌う「歌ってみた」動画からキャリアをスタートされています。

1位となったYOASOBIのコンポーザーとして国内外で高い評価を得ているAyaseは、バンドマンとしての活動ののち、ボカロPに転身。ボカロファンより高い評価を得る中、「小説を音楽にするユニット」として並行して活動を始めたのがYOASOBIでした。

2位のHonetWorksも、ボカロ曲を投稿するところから始まったグループですから、ボカロPと呼んで差し支えないのではないでしょうか。

今のところ、YOASOBIにしてもHoneyWorksにしても、先の例で言えば米津玄師にしてもAdoにしても、ボーカロイドとの関わりは見えても、ボーカロイド歌唱による楽曲がJASRACのランキングに登場しているわけではありません。しかし今年は、堤幸彦監督による映画「SINGULA」に、初音ミク歌唱による楽曲がエンディングテーマとして採用されたこともあり、状況は変わってくるのではないかという予感がします。

というか、大のボカロ曲好きとしては、ヒットチャートに初音ミクや鏡音リン、GUMIといったボーカロイドの名前が並ぶ日が待ち遠しいのでした。